職業ではなく、趣味として科学実践に主体的に取り組む人々がいます。
彼ら彼女らは、自らの好奇心に従い、自身の満足のために科学実践に取り組む存在です。時には、職業科学者と同等かそれ以上の専門性を持ち、新しい発見をします。こうした人々を「アマチュア科学者」として定位し、その活動がどのようにして成り立っているのかを明らかにしたいと考えています。
科学実践にかかわる市民は、科学者と市民という二項対立の視座によって、少し前まで見落とされてきた存在です。この「第三の存在」に焦点を当てることで、科学実践への参加は、科学者だけのものでなく、市民にも開かれているという見方ができます。この視点から、科学と人とのかかわり方を捉える視座のアップデートに取り組んでいます。そして、科学する文化の醸成を目指しています。
STEAM 教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(エンジニアリング)、Art/Arts(芸術 / リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の各領域を横断したり統合したりして、推進する教育です。幼児教育、小中学校、高等学校、大学、インフォーマルな学習環境まで、幅広い場面を対象に、STEAM教育の教材開発や普及に関して研究しています。
科学アイデンティティ(Science Identity)とは、"Science Person"としての認識のことです。この理論枠組みとして、能力(competence)、実績(performance)、承認(recognition)、興味(interest)の4つの要素があげられています。しかし、日本の学生の進路選択に注目すると、「消極的文系」という用語に代表される、科学アイデンティティを獲得する / しないでは捉えきれない自己認識が生じていることがわかりました。そこで、この「"理系ではない"という否定的なアイデンティティ(Non-Science Identity)」に注目し、研究しています。